Art Reportーアート鑑賞録ー

美術館・博物館・ギャラリーでの展示鑑賞録。

没後50年を記念した「藤田嗣治 本のしごと」展。

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描かれた絵だけを見ていたら
とても日本人が描いたとは思えない、と感じるのは
私だけでしょうか。

日本人なのに日本人ではなく
フランスに帰化してはいますが
フランス人でもない。
でも日本人として世界に生きたいと願った人。

絵自体は曖昧ではないのに
なぜか存在に曖昧さを感じます。

挿絵本を中心とした展示となっていますが
まず会場に入ってすぐに驚いたのは
友人、澤鋻治に送った絵葉書と
妻、とみに宛てた絵手紙でした。

一切、手抜きなし!といった書きっぷりなんですよね・・・。
絵も文章も。すごく筆まめな人だったんだなぁと。
特に奥さまに宛てた文章は
愛情というか、恋しい気持ちが溢れています。


そして今回のテーマの挿絵で心に残ったのは
「エロスの愉しみ」と「海龍」でした。
どちらもポストカードとして販売されていたので
迷わず買いましたよー。

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「エロスの愉しみ」(右下)はちょっとユーモラスな印象で
無邪気な戯れという感じがします。
色遣いも春の訪れのような。

それに対し「海龍」(左)はすうっとした線が美しい。
勝手な想像だけど
まったく迷いなく描かれたように思えてしまう。
その中でもこのポストカードにもなっている
「ぬけられます」が良かった!

その他、書籍のタイトルで100点、
絵画などの作品が40点、書簡が40点と
なかなかのボリュームです。ゆったりじっくり見て読んでほしい展示です。

目黒区美術館

期間:2018年4月14日(土)~2018年6月10日(日)
開園時間:10時~18時 ※入館は17時半まで
休館日:月曜日
入場料:一般1,000円(ぐるっとパス提示で無料)
交通:JR 目黒駅 徒歩約10分
   東横線 中目黒駅 徒歩約20分

mmat.jp

 

また、今年は没後50年ということで夏には
東京都美術館でも「藤田嗣治展」が開催されます。
こちらも楽しみですね!

foujita2018.jp