Art Reportーアート鑑賞録ー

美術館・博物館・ギャラリーでの展示鑑賞録。

映画

陰影の雄弁さが際立つ「ほかげ」

「ほかげ」を見ました。 hokage-movie.com ※多少のネタバレを含みます。 戦中・戦後を背景とした作品は多くありますが 特に戦後が舞台となっている場合、 どちらかというと人物描写も含め復興に向けた エネルギー溢れる物語になっていることが多い気がします…

幸せではなくても外野が思うほど不幸でもないのかもと感じた「市子」

「市子」を見ました。 happinet-phantom.com ※多少のネタバレを含みます。 つつがない生活を送るために存在する守るべき法律やルール。 それを守るからこそ守られる私たち。 自分のせいではないのに 出生の届け出がきちんと行われなかったがために 夢を見る…

「ぼくは君たちを憎まないことにした」は欠けたものを抱えながらも生きていく1番優しい仕返しの方法

「ぼくは君たちを憎まないことにした」を見ました。 nikumanai.com ※多少のネタバレを含みます。 もし私がこの主人公と同じ境遇に陥ったとしたら 大切な人の亡骸を確認したその日に 「君たちを憎まないことにした」なんて思えるだろうか。言えるだろうか。 …

異端は罪か「蟻の王」

「蟻の王」を見ました。 www.zaziefilms.com ※多少のネタバレを含みます。詩や哲学、芸術に共感しあい理解を深めた末に愛し合うのが男女ならなんの異論もなく自然なことと周囲に受け止められるのにそれが同性では許されなかった時代、同性愛当事者が矯正施設…

絆に色はあるのか「絆王子と無限の一歩」

多摩映画祭TAMA NEW WAVEある視点―Vol.1―の中から 「絆王子と無限の一歩」を見ました。 www.tamaeiga.org 不登校がテーマの本作、娘が不登校だったこともあり 繰り出されるセリフから現場をすごく丁寧に取材されたことが伺えます。 明確な理由があって行かれ…

救いのないことが救いであることから抜け出そうとした映画「夜明け」。

2月に公開以来、結局今回8度目の鑑賞を終えた広瀬菜々子監督作品、柳楽優弥主演の「夜明け」。恐らく劇場でこの映画を見るのは最後だと思うので作品に対する私なりの考えを書き記しておくことにする。

生き方は誰も教えてはくれない。 広瀬奈々子監督作品「夜明け」。

なぜか見終わるたびにすぐにまた見たくなり結局3週間の間に4度鑑賞。4度目の終盤近くになって「あぁ、私、充分癒されたなぁ」という気持ちになるという不思議な作品だった。 地方の町で木工所を営む哲郎は、ある日河辺で倒れていた見知らぬ青年を助け、自宅…