会場の白い壁が白の中の白というくらいに真っ白で美しくて
自分がなんとも場違いなところに来てしまったような感覚になりました。
(展示会場に入る前、銀座のシャネルに
入る時点でリュック、スニーカーが場違いなんですが 笑)
緊張の中、その白に相反するような
ザラザラとした質感のモノクロ作品は
私には心地良く、どんどんと絵に引き込まれました。
まるで自分もその絵の中に溶けていってしまいそうなくらいに。
人は生まれ出た瞬間に死に向かって行くものですが
作品として生まれ出る前の時間が全部この中に閉じ込められて
私たちの目の前に現れた時には
すでに退廃と終末がすぐそこに訪れているかのようです。
生きているものにも無機質なものにも。
どれだけエネルギッシュに生きても、いや、だからこそ
静かにそこに佇むのでしょうか。
不思議な感覚のまま会場で流れていた映像作品を見ました。
まるでバスに乗って見ている風景のようでした。
どこへ行くともなく乗ったバスの車窓を眺めながら
最後の場所に向かっているような
そんな錯覚を覚えます。
映像を見て私自身が終末を感じましたが、
たくさんの展示作品から感じるのは被写体の終末。
当たり前のようだけどなんだかハッとしました。
サラ ムーン自身はどこに何を見たんだろう。
日々、撮る眼差しの先に。
終わりのように見えてそこは始まり。
始まっては終わり、終わっては始まりを繰り返す。
その場を離れるのがとても惜しい気持ちでした。
儚げで切なげだけど哀しげではない。
すーっとした不思議な気持ち。
図録があればよかったのになー。そこがちょっと残念。
無料でこれだけの写真が堪能できるのは
とても貴重だと思います。ちなみに全作品撮影可能です。
会期もあと1週間ほど。ぜひ鑑賞していただきたい展示です。
CHANEL NEXUS HALL
会期:2018年4月4日(水) ~ 5月4日(金)
開館時間:12時~19時半
休館日:無休
入園料:無料
交通:東京メトロ銀座駅A13出口から徒歩1分
東京メトロ銀座一丁目駅8番出口からすぐ