Art Reportーアート鑑賞録ー

美術館・博物館・ギャラリーでの展示鑑賞録。

八木香保里写真展「草のね」は物言わぬ草への共感と賞賛。

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写真を撮る人なら誰でも身に覚えがあると思いますが、
他の人には理解されなくても
なぜかこれが気になる、
目にするとつい撮ってしまう、という
ひっかかりポイントみたいな被写体を
ひとつくらいは持っていますよね。

八木さんの撮る草も
特に写真を撮らない人から見たら
「???それを撮るの?」という
リアクションになるのではないでしょうか。

撮られた小さな草たちは
派手なパフォーマンスはないけれど
確実に堅実に一歩一歩踏みしめて歩む姿の
八木さんを想像させます。

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八木さんは草のその在り方に
共感と賞賛をもって撮影していらっしゃるような気がしてなりません。

しっかりと地に這う「根」と
さわさわと囁く「音」は
だんだんと擬人化されて
時にウキウキと
時にやっぱりこれじゃないとか
レンズを向けていてもいなくても
ご本人は常に草との会話を
楽しんでいるんじゃないかな、なんて。

ここに写し出された瞬間だけではなく

さっきゆるゆると風が吹いて
なよなよと揺れて
いま元に戻った

というような一連の時間の経過を
想像して楽しみたくなる写真です。

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5/27までと会期は長めですが、
途中16日から展示内容が入れ替わるとのこと。
ぜひ入れ替わり後も伺いたいな。

また展示会場となっているParque(パルケ)さんは
元々、富士フイルム写真屋さんだったそうで
今もお店の上の看板にはうっすらと
その文字が見て取れます(なんかちょっと感動!)。
古い佇まいそのままの空間で
すっかりと長居をしてしまいました。
ちょうど一輪挿し展が同時開催されていて
陶器、ガラス、金工といった素材の
一輪挿しも拝見できました。

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それらの作品とちゃんと事前に
合わせたわけではないと思うのですが
不思議と八木さんの写真とマッチしてたなぁ。

店内の写真撮影はOKで
どんどんSNSで拡散して構わないとのことでした。
ぜひ八木さんのいらっしゃる時に行って
お話を伺ってみてください。

Parque(パルケ)

期間:2018年5月3日(木)~2018年5月27日(日)
営業日:水~日 (基本定休 月・火、展示により不定休あり)
営業時間:12時~20時
交通:東急目黒線「西小山」駅 徒歩4分

http://parque-tokyo.com/