Art Reportーアート鑑賞録ー

美術館・博物館・ギャラリーでの展示鑑賞録。

凛とした高い品格「序の舞への系譜」。

一番好きな画家は、と聞かれたら
迷わず上村松園と答えるでしょう。

松園の描く女性はどれも凛として品があり
強くしなやかに見えます。

「序の舞への系譜」では、
江戸時代から昭和前期の序の舞が描かれたころまでを
様々な作家の描く美人画で辿っています。

今回の目玉でもある、松園の代表作にして
国の重要文化財でもある「序の舞」は
保存状態に問題が生じて2年をかけ修理されたそうです。
その修理後、初の展示ということでした。

松園のことは元々大好きなのでどの作品も
過去に何度も見に出かけたことがありますが
「そうそう、これこれ。やっぱりイイよねぇ。」などと思いつつ
修理された序の舞も堪能。溜め息が出てしまうほどの美しさ。

時代的にも女性が絵を描いて
それなりの評価を受けるって大変なことだと思います。
多分今よりももっと「女のくせに」とか
男性作家からの妬み嫉みなんかも想像してしまい
そういう中にあってなお崇高に描こうとした
松園の心意気みたいなものを感じます。
格調の高さが抜きんでているんですよね・・・。
本当にいつ見てもうっとりします。

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それ以外に目を引いたのは、菊池契月の「散策」でした。
描かれたのは昭和初期なのにモダンガールを思わせるような颯爽とした佇まい。
中央の空間には初夏の爽やかな風の流れが見えるよう。
「わぁ、これ欲しいなぁ」と思っていたら
ポストカードになっていたのでラッキーでした。
(ちなみに上の画像の右側の絵です)

あとこれは知らなかったのですが、
松園を含めて「三都の三園」といって
明治時代に美人画を描く有名な女性画家3人を
そう呼んだらしく。

京都の上村松園、東京の池田蕉園、大阪の島成園。

今回は池田蕉園、島成園の作品もあり
まったく異なる画風で
別々の場所を拠点として描かれたものが
時を超えて同じ場所に展示されているなんて不思議な縁だなぁと。
そういう呼ばれ方をしていたのを知ってから見ると
それぞれの住んでいる場所の空気や文化が
違いとなって表れているのかも、と面白かったぁ。

ということで、今回は大好きな松園と
たくさんの美人画を堪能した展示となりました!

東京藝術大学大学美術館

会期:2018年3月31日(土)~5月6日(日)
開園時間:午前10時~午後5時*入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜(※4月30日、5月1日は開館)

入園料:一般1,400円(ぐるっとパスで200円引き)

交通:JR上野駅(公園口)
   東京メトロ千代田線根津駅(1番出口)より徒歩10分
   京成上野駅(正面口)
   東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅(7番出口)より徒歩15分

http://bijinga2018.jp/index.html